通りすがりの俺様
「お、殴られないな。
 笑っているぞ。

 ということは、このまま突き進んでオッケーということだなっ!」

 猫が隠れていた場所から飛び出してきてしまったようだ……。

「……オッケーじゃないです」

 いずるは後退しようとしたが、一鷹は握っている手を離さない。

「今、お前にキスするのに、どれだけ勇気がいったと思うっ?

 また一から勇気を振り絞るのは時間がかかりそうなんで。
 このまま突き進んだ方がいいと俺は思うんだがっ?」

 どんな謎理論っ!?
といずるはなんとか手を振り解き、その場から逃亡する。

 そのまま数日、家の中を逃げ歩いた。

 すると、キッチンで会った矢端に言われた。

「なんか、今度、いずるちゃんの部屋を見つけたら、キス以上のことしていいって聞いたんだけど、ほんと?」

 話変わっていってるっ!

 そのとき、
「おい、いずるっ」
と兄が帰ってきた。

「今誰もいないから、実家で彼女といちゃつこうと思って行ったんだが。
 知らない奴が家の中に侵入してて、彼女が攫われたんだっ!」

「……詐欺師なのに?」
と矢端は言って、

「いやいや、それ、お前らの妄想だろうっ」
と兄に言われる。
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