通りすがりの俺様
「つまり、お前たちは、この俺の態度を見ているだけで。
 俺のいずるへの愛がダダ漏れているのがわかると言うんだな」

「言ってない」

「こうしているだけで、一生いずるを幸せにしそうな覚悟を感じると言うんだな」

「言ってないです」

 訳のわからない主張を続ける一鷹を怖いと思いはじめたのか、悪党たちが敬語になる。

 その様子を見ていた兄が呟いた。

「恐ろしいやつだ……。
 敵まで利用して、いずるに愛を伝えようとするとは。

 見習わなければ」

 いや、見習わなくていい気もしますけど、と思ったとき、

「ごちゃごちゃうるさいっ。
 俺たちは店の客に頼まれただけなんだよっ。

 さっさとそれを寄越せっ」
と後ろにいた気の短そうな男が折りたたみナイフを出し、走ってきた。

「水内さんっ」

 いずるは一鷹をかばうように前に出る。
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