通りすがりの俺様
 


「結局、水内さんのご両親の会社に(たく)したんです。
 あの土地をどうするか」

 社食でいずるはみんなにそう言った。

「お、悪の一鷹の思ってた通りになったじゃん」
と仕事で来ていた秀が笑う。

「ご両親にお会いして思ったんです。
 餅は餅屋に任せる方がいいかなって。

 きっと、和菓子屋さんにも常連さんにも、あの土地を活用されたがっているビルを建設される会社の人にもいいようにしてくださるかなって」

「まあ、これで一件落着かな。
 おっと。
 じいさんの株が上がっても俺には関係ないからな。

 俺はずっとここで頑張るから」

「ショボイ会社だがね」
と言いながら、トレーを手にした社長が秘書室長とともに一鷹の横を歩いていく。
 
 ひっ、と全員が振り返った。

「誰だっ、しゃべったのっ」
「矢端さんか秀さんでは?」

「僕、よその会社の人間なのに、どうやってここの社長にしゃべるんだよっ」

「七人っ、沙奈さんっ?」
と振り向いたら、二人は急いで社食を出て行くところだった。

「私がシメてあげようか?」
 網代木が笑って言う。

「いやいや、ここは私が――」
と黒帯の小野寺が言った。

 僕が私が、とみんなで格闘技自慢がはじまる。




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