恋旅
最終日 ひまりの最後の2ショットタイム
~慧 & ひまり~
最後のツーショットタイム、慧の前に座ったひまりの胸中は複雑だった。
これまで一途に自分を想い続け、いつだってクスリと笑わせてくれる慧。
今日も変わらず優しい笑顔を向けてくれるその姿に、心が温かくなるのを感じる。
慧は、こんなにまっすぐ私に向き合ってくれているのに……。
けれど、頭から離れないのはもう一人の存在――龍之介のことだ。
まだ自分のなかで、どちらか一人に気持ちを絞り切れていない。
昨日まではずっと龍之介だったひまりだが、慧への思いが決めないのだった。
本当は、その迷っている素直な気持ちを慧に伝えるべきかもしれない。
そう思いながらも、せっかく優しくしてくれる慧をこれ以上傷つけたくなくて、肝心な「選べない」という言葉をどうしても口に出すことができなかった。
言えないまま作り笑いを浮かべてしまう自分がもどかしく、ひまりの胸の奥は切なさと罪悪感で締め付けられていた。
~龍之介 & ひまり~
続いて向かったのは、両思いを確かめ合っている龍之介のもとだった。
少し緊張した面持ちでやってきたひまりを前に、龍之介はいつもより少しだけ真剣な、けれど真っ直ぐな瞳を向ける。
「……ひまりのことが好きだから。告白、待ってるね」
その言葉は、これまでの不器用さが嘘のように、はっきりと、力強くひまりの心にまっすぐ飛び込んできた。
予想していなかったあまりにもストレートな一言に、ひまりは「っ……!」と息を呑む。
胸の奥が一気に熱くなり、心臓の音がうるさくなるほど激しく高鳴った。
そんなこと言われたら……もう、迷ってる場合じゃないって思っちゃうよ……。
慧への申し訳なさと、龍之介に向けられる抑えきれない恋心。
大きく揺れていたひまりの心が、その甘い言葉によって一気に一つの方向へと引き寄せられていくのだった。