スパダリ御曹司はスパダリ偽装妻を溺愛で囲い逃がさない
夕方になるにつれ、ホテルのロビーは賑わい始める。
チェックインを待つお客様、客室へお戻りになられたお客様。レストラン利用や宴会利用のお客様も増えるこの時間は、フロントクラークの一番忙しい時間だ。
周りがてきぱきと動く中、私はフロントカウンターで、新人ホテルクラークの森さんの業務を見守っていた。
初めてこのホテルに宿泊される、一般客室をご利用予定の中年男性、小野様。彼は足が悪いため座ってチェックインの対応をしてほしいとフロントに告げた後、その対応に彼女を指名した。今、小野様はロビーのソファに座り、森さんはその横に屈む形で対応をしている。
森さんは自分が指名されたことに笑みを見せたが、私は危惧していた。彼女を見る小野様の視線に、どこか下心を感じたのだ。
本来、お客様を疑うなんてあってはならないこと。だけど、後輩を守りたいという気持ちもある。
なにもなければ、それでいい。そんな気持ちで見守っていたが、どうもチェックインの手続きにかかる時間が長い気がする。
私はインカムを一度耳に押し込み、告げた。
「森さん、手続きの調子は?」
すると彼女はこちらを見て、わずかに顔を歪めた。だがすぐ小野様に話しかけられ、そちらに引きつった笑みを向ける。
「樫江、フロントを離れます」
慌ててインカムで告げ、私は彼女のもとへ向かった。
そっと小野様を背後から覗くと、彼は鞄で隠しながら、彼女のももの辺りを触っている。私の危惧していた通りになっていたのだ。
私は迷わず、自然にふたりの間に割り込んだ。彼女の背中にそっと手を添え、自分の影へと引き寄せる。
「小野様、大変お待たせしております。森はまだ新人でして。ご不便もあったと存じますが、丁寧に向き合ってくださりありがとうございます。ここからは私、樫江が引き継がせていただきます」
小野様にホテルマンの笑みを向けそう言うと、彼は不機嫌そうに顔をしかめて舌打ちをした。
「なんだよ、お前。俺は彼女に頼んだんだ、引っ込んでろよ」
低く威圧的な声。私の後ろで、森さんが息をのむのがわかった。
それでも、私は笑みを浮かべて小野様に告げる。
「恐れ入ります。ですが、お客様に万が一にもご不便をおかけするわけにはまいりません。ご安心ください、私どもで最も迅速に、小野様のお体の負担にならないようお部屋へのご案内手順を整えてまいります」
にこっと笑みを浮かべ続けていると、間が悪くなったのか小野様がぼそっとこぼす。
「そこまで言うなら、早くしろ」
私はもう一度丁寧に頭を下げ、小野様へのご案内を開始した。
チェックインを待つお客様、客室へお戻りになられたお客様。レストラン利用や宴会利用のお客様も増えるこの時間は、フロントクラークの一番忙しい時間だ。
周りがてきぱきと動く中、私はフロントカウンターで、新人ホテルクラークの森さんの業務を見守っていた。
初めてこのホテルに宿泊される、一般客室をご利用予定の中年男性、小野様。彼は足が悪いため座ってチェックインの対応をしてほしいとフロントに告げた後、その対応に彼女を指名した。今、小野様はロビーのソファに座り、森さんはその横に屈む形で対応をしている。
森さんは自分が指名されたことに笑みを見せたが、私は危惧していた。彼女を見る小野様の視線に、どこか下心を感じたのだ。
本来、お客様を疑うなんてあってはならないこと。だけど、後輩を守りたいという気持ちもある。
なにもなければ、それでいい。そんな気持ちで見守っていたが、どうもチェックインの手続きにかかる時間が長い気がする。
私はインカムを一度耳に押し込み、告げた。
「森さん、手続きの調子は?」
すると彼女はこちらを見て、わずかに顔を歪めた。だがすぐ小野様に話しかけられ、そちらに引きつった笑みを向ける。
「樫江、フロントを離れます」
慌ててインカムで告げ、私は彼女のもとへ向かった。
そっと小野様を背後から覗くと、彼は鞄で隠しながら、彼女のももの辺りを触っている。私の危惧していた通りになっていたのだ。
私は迷わず、自然にふたりの間に割り込んだ。彼女の背中にそっと手を添え、自分の影へと引き寄せる。
「小野様、大変お待たせしております。森はまだ新人でして。ご不便もあったと存じますが、丁寧に向き合ってくださりありがとうございます。ここからは私、樫江が引き継がせていただきます」
小野様にホテルマンの笑みを向けそう言うと、彼は不機嫌そうに顔をしかめて舌打ちをした。
「なんだよ、お前。俺は彼女に頼んだんだ、引っ込んでろよ」
低く威圧的な声。私の後ろで、森さんが息をのむのがわかった。
それでも、私は笑みを浮かべて小野様に告げる。
「恐れ入ります。ですが、お客様に万が一にもご不便をおかけするわけにはまいりません。ご安心ください、私どもで最も迅速に、小野様のお体の負担にならないようお部屋へのご案内手順を整えてまいります」
にこっと笑みを浮かべ続けていると、間が悪くなったのか小野様がぼそっとこぼす。
「そこまで言うなら、早くしろ」
私はもう一度丁寧に頭を下げ、小野様へのご案内を開始した。