スパダリ御曹司はスパダリ偽装妻を溺愛で囲い逃がさない
やがてパーティーがお開きになり、私は北斗さんとともにサロンへと戻った。
ここへ着てきたスーツはクリーニングされ紙袋に入れられており、差し出されたそれを北斗さんが受け取る。するとサロンのスタッフが、私たちににこやかに告げた。
「またのご利用をお待ちしております」
てっきりレンタルドレスだと思っていた私は、きょとんとしてしまう。だが北斗さんは「ありがとう、また」とスタッフに告げ、再び私の腰の辺りに手を置いた。
そのままサロンを出た彼に、私は慌てて小声で尋ねた。
「ドレス、ヒール、アクセサリー合わせておいくらでしょうか? あ、給料天引きでも――」
「お代はいらないよ。今日の、特別報酬」
耳元で告げられ、思わず体を震わせる。だが、私はすぐに小さく頭を振った。
「そういうわけにはいきません」
「受け取ってくれ。今日は君に、助けられてしまったしね」
北斗さんは笑みを浮かべたまま、力なく笑う。それが苦笑いのように見えて、私はそれ以上は押し黙った。
そのまま彼について歩き、気づくと来た時と同じ地下駐車場にいた。北斗さんは歩みを止めることなく、駐車場内へと向かう。
「北斗さん、私は電車で帰りますので」
そう言ったものの、北斗さんは首を静かに横に振った。
「家まで送るよ。琴子さんに、話したいこともあるし」
きっと、婚約の件についてだ。気まずい気持ちになり、つい俯く。すると彼は、からりと笑って私に告げた。
「先ほどのシャンパン。俺、一滴も飲んでいないから」
彼らしい、優しい言葉だ。それに婚約の件も、先延ばしにしたらなくなるわけでもない。
「ありがとうございます」
私はそっと告げ、彼にエスコートされるまま歩き続けた。
彼の車は、高級感漂う黒色のセダンだった。「どうぞ」と助手席を開けて促され、そこに乗り込む。
しっとりとしたなめらかな本革のシートに、艶を抑えたオープンポアのダッシュボード。足元やパネルにはほのかな間接照明が灯っている。
さすが、高級車だ。気品あふれる車内の様子に、私は思わず背を正した。
いつの間にか運転席に乗り込んでいた彼が、ハンドルを握る。
「シートベルトだけ、お願い」
その声に慌ててシートベルトをかけると、車は静かに駐車場を発進した。
ここへ着てきたスーツはクリーニングされ紙袋に入れられており、差し出されたそれを北斗さんが受け取る。するとサロンのスタッフが、私たちににこやかに告げた。
「またのご利用をお待ちしております」
てっきりレンタルドレスだと思っていた私は、きょとんとしてしまう。だが北斗さんは「ありがとう、また」とスタッフに告げ、再び私の腰の辺りに手を置いた。
そのままサロンを出た彼に、私は慌てて小声で尋ねた。
「ドレス、ヒール、アクセサリー合わせておいくらでしょうか? あ、給料天引きでも――」
「お代はいらないよ。今日の、特別報酬」
耳元で告げられ、思わず体を震わせる。だが、私はすぐに小さく頭を振った。
「そういうわけにはいきません」
「受け取ってくれ。今日は君に、助けられてしまったしね」
北斗さんは笑みを浮かべたまま、力なく笑う。それが苦笑いのように見えて、私はそれ以上は押し黙った。
そのまま彼について歩き、気づくと来た時と同じ地下駐車場にいた。北斗さんは歩みを止めることなく、駐車場内へと向かう。
「北斗さん、私は電車で帰りますので」
そう言ったものの、北斗さんは首を静かに横に振った。
「家まで送るよ。琴子さんに、話したいこともあるし」
きっと、婚約の件についてだ。気まずい気持ちになり、つい俯く。すると彼は、からりと笑って私に告げた。
「先ほどのシャンパン。俺、一滴も飲んでいないから」
彼らしい、優しい言葉だ。それに婚約の件も、先延ばしにしたらなくなるわけでもない。
「ありがとうございます」
私はそっと告げ、彼にエスコートされるまま歩き続けた。
彼の車は、高級感漂う黒色のセダンだった。「どうぞ」と助手席を開けて促され、そこに乗り込む。
しっとりとしたなめらかな本革のシートに、艶を抑えたオープンポアのダッシュボード。足元やパネルにはほのかな間接照明が灯っている。
さすが、高級車だ。気品あふれる車内の様子に、私は思わず背を正した。
いつの間にか運転席に乗り込んでいた彼が、ハンドルを握る。
「シートベルトだけ、お願い」
その声に慌ててシートベルトをかけると、車は静かに駐車場を発進した。