スパダリ御曹司はスパダリ偽装妻を溺愛で囲い逃がさない
事態は無事収拾し、今はもうすっかりいつものロビーに戻っている。
大熊様は駆けつけた医師により事なきを得て、今はホテル内の医務室で療養中だ。奥様も無事合流できたと連絡を受け、私はほっと安堵した。
ぬいぐるみはあの後、私たちが大熊様の対応をしている間に先の男性がフロントへ届けてくれたそうだ。
落とした少女の背格好と今日の宴会の予定から、結婚披露宴の招待客だろうと目星をつけた私は、その旨を宴会スタッフに共有した。結果、ぬいぐるみは無事少女の手元に戻ったと聞いている。
男性にお礼がしたいと思ったが、誰も名前も連絡先も聞いていない。
いいことは、きっと巡るはずだ。私はあの男性に幸あれと心の中で願いつつ、早乙女くんに声をかけた。
「先ほどはありがとう。素早い対応で、助かったよ」
「いや、俺なんてまだまだ。樫江さんの指示がよかったから、動けただけ」
少し照れたような彼に、私は笑みを向けた。
「謙遜しないで。早乙女くんが私と同じ場所にいたら、早乙女くんだって私と同じことをしたと思う」
お世辞でも建前でもない。私は彼のことを信頼しているし、だからこそそのくらいやってくれると信じて疑わないのだ。
だが、早乙女くんは小さな声で「ありがとう」と言い、視線をロビーに向けてしまう。
その時、一組の客がこちらにやってきた。彼はそのまま、笑顔で対応に入る。
気分を害してしまっただろうか。だったら申し訳ないことを言ってしまったなと思いつつ、私は時間を確認しインカムに向かって告げた。
「樫江、本日の宿泊客の確認に行ってまいります」
今日からレジデンシャルスイートに宿泊されるお客様が、もうすぐ到着される。比較的ロビーが落ち着いている今、お客様がお見えになる前にもう一度確認し、皆に共有しておいたほうがいいだろうと考えたのだ。
レジデンシャルスイートとは、このホテルでもランクの高い部屋。長期滞在される富裕層向けの部屋で、ベッドルームやリビングルームだけでなく、簡易キッチンやバーもついている。
このお部屋に宿泊されるお客様を、私たち従業員はVIPと呼んでいる。最上級のおもてなしと、不便のない滞在をお約束するのだ。
大熊様は駆けつけた医師により事なきを得て、今はホテル内の医務室で療養中だ。奥様も無事合流できたと連絡を受け、私はほっと安堵した。
ぬいぐるみはあの後、私たちが大熊様の対応をしている間に先の男性がフロントへ届けてくれたそうだ。
落とした少女の背格好と今日の宴会の予定から、結婚披露宴の招待客だろうと目星をつけた私は、その旨を宴会スタッフに共有した。結果、ぬいぐるみは無事少女の手元に戻ったと聞いている。
男性にお礼がしたいと思ったが、誰も名前も連絡先も聞いていない。
いいことは、きっと巡るはずだ。私はあの男性に幸あれと心の中で願いつつ、早乙女くんに声をかけた。
「先ほどはありがとう。素早い対応で、助かったよ」
「いや、俺なんてまだまだ。樫江さんの指示がよかったから、動けただけ」
少し照れたような彼に、私は笑みを向けた。
「謙遜しないで。早乙女くんが私と同じ場所にいたら、早乙女くんだって私と同じことをしたと思う」
お世辞でも建前でもない。私は彼のことを信頼しているし、だからこそそのくらいやってくれると信じて疑わないのだ。
だが、早乙女くんは小さな声で「ありがとう」と言い、視線をロビーに向けてしまう。
その時、一組の客がこちらにやってきた。彼はそのまま、笑顔で対応に入る。
気分を害してしまっただろうか。だったら申し訳ないことを言ってしまったなと思いつつ、私は時間を確認しインカムに向かって告げた。
「樫江、本日の宿泊客の確認に行ってまいります」
今日からレジデンシャルスイートに宿泊されるお客様が、もうすぐ到着される。比較的ロビーが落ち着いている今、お客様がお見えになる前にもう一度確認し、皆に共有しておいたほうがいいだろうと考えたのだ。
レジデンシャルスイートとは、このホテルでもランクの高い部屋。長期滞在される富裕層向けの部屋で、ベッドルームやリビングルームだけでなく、簡易キッチンやバーもついている。
このお部屋に宿泊されるお客様を、私たち従業員はVIPと呼んでいる。最上級のおもてなしと、不便のない滞在をお約束するのだ。