スパダリ御曹司はスパダリ偽装妻を溺愛で囲い逃がさない
 北斗さんが隣で、にこにこしながらスーパーのカートを押している。

 ここは、マンションからほど近い場所にある高級スーパーだ。この辺りには他にスーパーがないからここを選んだのだけれど、まさか北斗さんまで一緒に来ることになるなんて。

 ひとりで出かけようとした私に、北斗さんは「家にいてもすることがないから」と荷物持ちを申し出てくれた。申し訳ないと断ろうとしたのだけれど、この後私も荷解きがあるから、そのくらい頼ってほしいと言われてしまった。

 彼なりに、私とフェアに過ごそうとしてくれているのかもしれない。私はもう、彼に借りばかりなのに。

 品ぞろえは普通のスーパーと変わらないのに、そのどれもが専属のバイヤーによって選ばれた高級品で、背中が勝手にぴんとなる。だが、隣でカートを押す北斗さんをちらりと見ると、ふっと笑みがこぼれた。
 彼はあまりにも、スーパーが似合わない。

 高級スーパーすら馴染まないなんて、どれだけ高貴な人なのだろう。
 そんなことを思いつつ、売り場を物色する。なにをつくろうか考えていると、ふと北斗さんの好みなど知らないと気づいた。

「好きな食べ物はありますか?」
「わりとなんでも好きだよ」

 不意な私の質問に、北斗さんは楽しそうな顔をして答えた。だが、そう返されてしまっては仕方ない。私は少しの間考え、別の質問をした。

「和食、中華、洋風。今は、どれが食べたい気分ですか?」
「気分か。最近食べていなかったから、和食かな」
「魚料理と肉料理でしたら、どちらですか?」
「それなら、肉かな」

 こういう問いなら、彼は素直に答えてくれるようだ。私はそれで彼の気分を聞き出しつつ、今日の献立を脳裏で組み立てる。

「では、肉じゃがにしようと思います。お浸しと、味噌汁もつくりますね」
「ありがとう」

 彼はそう言うと、野菜や肉を手に取る私の後ろを静かについてきてくれた。

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