スパダリ御曹司はスパダリ偽装妻を溺愛で囲い逃がさない
彼はこのところ、たまに距離が近い。そのたびに『夫婦だから』と言われるけれど、私は恋に耐性がないからか、ドキドキして仕方ない。
偽装の関係なのになぜだろうという疑問は浮かぶものの、だからといって離れるのも彼を避けるようで違う気がするし、それで彼の態度が変わってしまったらと思うと怖い。だからどぎまぎしながらも、私は彼を受け入れていた。
「チェックインはこっちだよ、琴子」
耳元で囁かれ、今度はどきりと胸が跳ねる。
あの日以降、なぜか北斗さんは私のこと『琴子』と呼ぶようにもなった。理由を聞こうかとも思ったが、ただ単純に『琴子さん』が言いにくいだけもしれない。それに、逆に私が彼を意識していると思われてしまったら、また気を遣われてしまうかもしれない。
北斗さんはいかにも自然だし、それで特別困るようなこともないから、彼が呼びやすいならそれで別に構わない。私は慣れずに胸が跳ねてしまうけれど、それも慣れてしまえば問題ないだろう。
チェックインを済ませて、さっそく部屋へ。案内された部屋に入り、ホワイエを抜けた瞬間、私は目をまたたかせた。
アールデコ調の美しい家具が並ぶ、大きなリビングスペース。海に向かって開けた大きな窓の向こうには、プライベートテラスがついている。美しい調度品が並べられたこの部屋は、まるで貴族の別荘のようだ。
入口で固まる私の腰を抱いたまま、北斗さんがくすりと笑う。
「中に入ろうか。ここにいては、せっかくの〝視察〟を楽しめないよ」
そうだ、これは視察。こういう場所に宿泊されるお客様が、どんなサービスを受けたら満足いただけるか、身をもって知るチャンスだ。
素敵な、広すぎるスイートルーム。言われてみれば、確かに仕事で目にしているヴィラの間取り図や完成イメージ図と合致する部分もある。
「そうですね。すみません、少し浮かれてしまっていたようです」
私は努めて冷静に声を出す。すると北斗さんはなぜか、急に声を出して「ははっ」と笑った。
「ごめん、そんなにかしこまらないで。楽しむだけでも、十分収穫はあると思うよ」
彼に促され、部屋の奥へ。リビングの隣にはダイニングスペースがあり、リビングと統一感のあるクラシカルなテーブルとチェアが置かれていた。その横には、ミニキッチンにバーカウンターが併設されている。
それだけでも目が回りそうな広さなのに、まだベッドルームを見ていない。
「うちのホテルのスイートより、断然広いですね」
そう口走ると、北斗さんは「確かに」と顎に手を置く。
「でも、俺があのホテルに泊まっていた時はひとりきりだった。今回は琴子も一緒だから、このくらい広くても、俺はちょうどいいと思う」
彼の言葉に、今ここにふたりきりで泊まるのだと、改めて思い知る。一緒に住んでいるはずなのに、環境が変わっただけで急に鼓動が高鳴るのはなぜだろう。
にこっと微笑む彼に動揺を悟られぬよう、私はベルスタッフが置いてくれた荷物に手をかけた。
「私、荷解きしちゃいますね」
偽装の関係なのになぜだろうという疑問は浮かぶものの、だからといって離れるのも彼を避けるようで違う気がするし、それで彼の態度が変わってしまったらと思うと怖い。だからどぎまぎしながらも、私は彼を受け入れていた。
「チェックインはこっちだよ、琴子」
耳元で囁かれ、今度はどきりと胸が跳ねる。
あの日以降、なぜか北斗さんは私のこと『琴子』と呼ぶようにもなった。理由を聞こうかとも思ったが、ただ単純に『琴子さん』が言いにくいだけもしれない。それに、逆に私が彼を意識していると思われてしまったら、また気を遣われてしまうかもしれない。
北斗さんはいかにも自然だし、それで特別困るようなこともないから、彼が呼びやすいならそれで別に構わない。私は慣れずに胸が跳ねてしまうけれど、それも慣れてしまえば問題ないだろう。
チェックインを済ませて、さっそく部屋へ。案内された部屋に入り、ホワイエを抜けた瞬間、私は目をまたたかせた。
アールデコ調の美しい家具が並ぶ、大きなリビングスペース。海に向かって開けた大きな窓の向こうには、プライベートテラスがついている。美しい調度品が並べられたこの部屋は、まるで貴族の別荘のようだ。
入口で固まる私の腰を抱いたまま、北斗さんがくすりと笑う。
「中に入ろうか。ここにいては、せっかくの〝視察〟を楽しめないよ」
そうだ、これは視察。こういう場所に宿泊されるお客様が、どんなサービスを受けたら満足いただけるか、身をもって知るチャンスだ。
素敵な、広すぎるスイートルーム。言われてみれば、確かに仕事で目にしているヴィラの間取り図や完成イメージ図と合致する部分もある。
「そうですね。すみません、少し浮かれてしまっていたようです」
私は努めて冷静に声を出す。すると北斗さんはなぜか、急に声を出して「ははっ」と笑った。
「ごめん、そんなにかしこまらないで。楽しむだけでも、十分収穫はあると思うよ」
彼に促され、部屋の奥へ。リビングの隣にはダイニングスペースがあり、リビングと統一感のあるクラシカルなテーブルとチェアが置かれていた。その横には、ミニキッチンにバーカウンターが併設されている。
それだけでも目が回りそうな広さなのに、まだベッドルームを見ていない。
「うちのホテルのスイートより、断然広いですね」
そう口走ると、北斗さんは「確かに」と顎に手を置く。
「でも、俺があのホテルに泊まっていた時はひとりきりだった。今回は琴子も一緒だから、このくらい広くても、俺はちょうどいいと思う」
彼の言葉に、今ここにふたりきりで泊まるのだと、改めて思い知る。一緒に住んでいるはずなのに、環境が変わっただけで急に鼓動が高鳴るのはなぜだろう。
にこっと微笑む彼に動揺を悟られぬよう、私はベルスタッフが置いてくれた荷物に手をかけた。
「私、荷解きしちゃいますね」