スパダリ御曹司はスパダリ偽装妻を溺愛で囲い逃がさない
ベルスタッフに彼の荷物を頼み、鷲見様をお部屋へと案内する。ともにエレベーターへ乗り込むと、彼が私に聞いてきた。
「このホテルは、スイートが低層階。珍しいね」
鷲見様のお部屋は八階。我がホテルの隣に位置する、都立公園に面したお部屋だ。
「お部屋から自然を眺めて、季節の移ろいを感じてほしいという創業者の願いが込められているんです。オリオンレジデンス東京のスイートに宿泊されるお客様は、第一線でご活躍される方が多くいらっしゃいます。そういった方々に、少しでも都会の喧騒を忘れて寛いでいただけたらと私どもも思っております」
「なるほど」
鷲見様はそう言うと、顎に手を置きなにか考え始める。
私は笑顔を浮かべながらも、心の内では疑問が浮かんでいた。
見てくれだけで高級だとわかる光沢のあるウールスーツはスリーピースで、着慣れているのかとても似合っている。整った顔に浮かぶ包容力のある微笑みには、心の余裕が表れているようだ。先ほどのぬいぐるみの件もあり、周りをよく見ていて動ける人だともわかっている。
にもかかわらず、おそらく歳は私と同じか少し上くらい。二十代後半から三十代そこそこで、これほどの余裕を持った人物。いったい何者なのだろう。
「樫江さんは、ここに勤めてどのくらい?」
唐突な質問に、私ははっと我に返る。それを悟られないように笑顔を崩さず、私は答えた。
「今年で六年目でございます」
「へえ、六年か。さっきの急病人時の君の対応力、目を瞠るものがあったよ」
「ありがたいお言葉、光栄に存じます」
笑顔で会釈を返しつつ、私は自分に言い聞かせた。
彼が何者であろうと、関係ない。ホテルクラークである私の仕事は、このオリオンレジデンスホテル東京の名に恥じないおもてなしで、お客様の滞在をサポートすることだ。お客様についての詮索は、よくない。
やがて、エレベーターが八階に着く。私は部屋へと彼を案内しながら、にこやかな彼の隣で笑顔を浮かべ続けた。
「このホテルは、スイートが低層階。珍しいね」
鷲見様のお部屋は八階。我がホテルの隣に位置する、都立公園に面したお部屋だ。
「お部屋から自然を眺めて、季節の移ろいを感じてほしいという創業者の願いが込められているんです。オリオンレジデンス東京のスイートに宿泊されるお客様は、第一線でご活躍される方が多くいらっしゃいます。そういった方々に、少しでも都会の喧騒を忘れて寛いでいただけたらと私どもも思っております」
「なるほど」
鷲見様はそう言うと、顎に手を置きなにか考え始める。
私は笑顔を浮かべながらも、心の内では疑問が浮かんでいた。
見てくれだけで高級だとわかる光沢のあるウールスーツはスリーピースで、着慣れているのかとても似合っている。整った顔に浮かぶ包容力のある微笑みには、心の余裕が表れているようだ。先ほどのぬいぐるみの件もあり、周りをよく見ていて動ける人だともわかっている。
にもかかわらず、おそらく歳は私と同じか少し上くらい。二十代後半から三十代そこそこで、これほどの余裕を持った人物。いったい何者なのだろう。
「樫江さんは、ここに勤めてどのくらい?」
唐突な質問に、私ははっと我に返る。それを悟られないように笑顔を崩さず、私は答えた。
「今年で六年目でございます」
「へえ、六年か。さっきの急病人時の君の対応力、目を瞠るものがあったよ」
「ありがたいお言葉、光栄に存じます」
笑顔で会釈を返しつつ、私は自分に言い聞かせた。
彼が何者であろうと、関係ない。ホテルクラークである私の仕事は、このオリオンレジデンスホテル東京の名に恥じないおもてなしで、お客様の滞在をサポートすることだ。お客様についての詮索は、よくない。
やがて、エレベーターが八階に着く。私は部屋へと彼を案内しながら、にこやかな彼の隣で笑顔を浮かべ続けた。