あなたは悪魔で運命の人
営業部の月末いつもバタバタと忙しい。
私は午前中期限の仕事を終わらせるために急いでいた。

するとマネージャーのところに秘書課の男性、渡辺さんがやって来た。

「マネージャー、お忙しいところ申し訳ないのですが、午後に大事な来客があり、営業部から応援をお願いしたいのです。」

マネージャーは笑みを浮かべながら応えた。

「渡辺さん、それでしたら私が伺いますよ。」

渡辺さんは少し慌てたような表情を浮かべた。

「できれば、女性の方にお願いしたいので、鈴木さんにお願いできないでしょうか?」

マネージャーは驚くのと同時にで少し困り顔になった。
私には他社へ今日中に報告の仕事があることをマネージャーは分かっている。

「鈴木さんはまだ転勤してきたばかりで、分からないことも多いのし、西条さんやほかの女性ではだめでしょうか?」

渡辺さんはその言葉を遮るように話し始めた。

「…上からの希望もありまして、鈴木さんに来ていただきたいです。」

そう言うと、渡辺さんは私のほうを向き、ニコッと微笑んだ。

マネージャーは、仕方なく私を行かせる返事をする。
上からの命令には逆らえないのが、会社というものだ。
しかし、なぜ転勤したばかりの私なんかを指名してきたのだろうか

優しいマネージャーは私に気づかい、申し訳なさそうに話し始めた。

「鈴木さん、本当に申し訳ないけど、来客の手伝いに行ってくれるかね。上からの希望ということで仕方ないんだ。鈴木さんの急ぎは僕が引き受けるよ。」

「はい。承知致しました。では早速行ってきます。」

来客の手伝いなんて慣れていない。
秘書課の来客ならば、かなりのVIPを想像する。

そして、何故かわからないが、それ以外にも不安な気持ちにもなっていた。。

渡辺さんに案内されて、私は最上階のVIP用応接室へ向かった。
会社でも役員や、大切な来客時のみ使われる応接室には、私も入るのが初めてだった。

専用のカードキーを使い、電子ロックの重厚な扉を開けると、豪華な応接セットや高そうな装飾品に圧倒される。

部屋に入り、私は今日のお客様について質問した。

「渡辺さん、本日のお客様はどのような方なのですか?」

すると、なぜか渡辺さんは少し慌てた表情をした。

「ぼ…僕もよく知らないのです。鈴木さんをこのお部屋にお連れすることが仕事なので!」

「…えっ!!何を言っているのですか。」

その言葉を残して、渡辺さんは素早く一人で部屋を出た。


“カチャ、ピ-”


ドアに鍵がかかる音がする。
私は嫌な予感がして、ドアを開けようとノブに手をかけるが!


“ブー、ブー”


ブザー音が鳴るが、戸が開かない。

「…うそでしょ。鍵がロックされている。」

< 54 / 59 >

この作品をシェア

pagetop