見積もりには書けないもの

第二十話 『今日、会いたい』

酔っ払って寝た割に、目覚ましより早く目が覚めた。

朝のルーティン。

まず仏様に一礼。

歯磨き。

それからストレッチや軽い腕立て、腹筋。

最後に逆立ちを一分。

それから水を一杯飲んで、蜂蜜を一口舐める。

そして一服しながら、今日の予定を確認する。

今日は溜まった事務処理と、アポ取り。

森下さんにもアポ取らなきゃな……。

普段は市役所でパートしてるって言ってたから、今日は仕事かな……。

そんなことを考えながら、携帯のカレンダーで予定を確認していた。

午前七時三十分。

いつもの時間に家を出た。

家から会社までは、車で三十分ほど。

平日の朝は、そんなに簡単にはいかない。

家の前の道から、簡単に言えば三回ほど曲がれば会社に着く。

ほぼ毎日のように、この家の前の道を走っている。

二つ目の曲がり角を会社とは反対側に曲がって、しばらく行くと森下さんの家がある。

直接向かえば、三十分ほどの距離に彼女はいる。

そんなことを考えながら、二つ目の信号を左折した。

しばらく車を走らせ、会社に着いた。

そして――

ピコーン。

着席とほぼ同時に、LINEが鳴った。

午前八時十五分。

森下さんからだった。

『おはようございます』

元気な羊が叫んでいる。

ピコーン。

『今日も暑いけどお仕事頑張ってください!』

うるうるした目で見つめる羊。

今日、会いたいな……。

ふと思った。

そして、その思いを確かめるより先に、返信していた。

『見積もりができたので、今日時間ありますか?』

ピコーン。

ウルウルした羊がやってきた。

ピコーン。

『今日お休みで、何しようかなーって思ってました!』

『ご迷惑じゃなければ』

『こないだは残りもの食べさせちゃったから、ちゃんと用意するのでランチしましょ』

『見積もりお待ちしてます』

口元にハートマークの羊。

俺は迷わず、即答した。
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