見積もりには書けないもの

第二十五話 『俺、森下さんが好きだ』

その日、LINEは鳴らなかった。

帰りの車の中でも、帰宅してからも、俺からはなんとなく連絡できなかった。

すぐにLINEが来るんじゃないか。

どこかで、そんな期待をしていた。

翌日も。

また、その翌日も。

俺はそのことばかり考えていた。

だからって、俺がなんて連絡すんのよ……。

言葉が出てこない。

森下さんから送ってくれよ……。

そう願っていた。

翌日も、LINEはなかった。

この感じで、休み明けから工事か……。

いや。

ここは俺が連絡するしかねーだろ。

そう自分に言い聞かせ、やっと文字を打ち始めた。

『こんばんは』

『月曜日から工事、宜しくお願い致します!』

とりあえず、仕事100%の俺になってみた。

というより、それ以外の言葉が見つからなかった。

すぐに既読がついた。

羊がボロ泣きしている。

ピコーン。

またすぐに、羊がもう一匹。

ほっと肩を撫で下ろしている羊。

ピコーン。

今度は長文だった。

あの日から、嫌われちゃったなと思っていたらしい。

だから俺からLINEが来なかったんだと思っていた。

向こうも、自分からは連絡できないと思っていたらしい。

俺も、自分の思いを伝えた。

すれ違いが解消された。

そして、最後にまたLINEが鳴った。

ピコーン。

羊が、大きなハートをプレゼントのように渡している。

もう言うよ。

……言わせてくれ。

俺、森下さんが好きだ。

決して、言葉にはできない。

分かってる。

だから俺は、俺自身には素直でいさせてくれ。

そう言い聞かせながら、車内で一人、

電子タバコを起動させていた。
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