天使とケサランパサランの靴屋
 声にならないその祈りが、世界に届いた瞬間。

 彼女が背中を預けていた古びたドアが、カタカタと激しく揺れ、その隙間から見たこともないほど眩しく美しい光が工房の中へと突き刺しました。

 そばかすの天使は、驚きに小さな目を見開きます。

 もしかして、私の声にならない願いが神様に届いたのかもしれない――そんな切実な期待を胸に、彼女はそっと後ろを振り返りました。

 張り詰めた静寂が工房を満たします。

 やがて、その光あふれるドアの向こうから、優しく、けれど少し待ちきれないようなノックの音が響いてきました。

 トン、トン、トン……。トン、トン、トン……。

 それは、この工房に新しい風を連れてくる、待ち望んだ音。

 そばかすの天使は今度は口を大きく開けて、まるで人間の子供のような無邪気な笑顔で、全身でその喜びを噛みしめるのでした。

 コーリャは、娘のナターシャが戻ってきたのかと思いました。
 ですが、先ほどとは違い、それはとてもぎこちなく、どこか控えめな音でした。

「どなたかな?」

 ドアに向かって声をかけましたが、言葉は返ってこず、ただ静かな沈黙だけが降り積もります。

 そばかすの天使は、このドアの向こうに一体だれが立っていてほしいかを心に定めると、もう一度、強い祈りを込めて(ケサラン、パサラン)と口元を動かしました。

 すると、まるでその祈りに応えるかのように、ドアがゆっくりと開き、眩しいばかりの光が工房へと溢れ出します。

 コーリャは目を細め、眩しそうに手をかざしました。
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