天使とケサランパサランの靴屋
 コーリャは申し訳なさそうに、自分のしわがれた手を見つめました。

「わしが……不器用に直してしまったからかい? だから、遠くの綺麗な世界へ帰れずに、こんな古びた工房でずっとわしに付き合ってくれていたのかい?」

「ごめんよ……ごめんよ……」

 コーリャは小さく呟きました。

 ずっと孤独だと思っていた暗闇の中で、どれほど大きな愛が自分に寄り添い続けてくれていたかを知り、彼の胸は激しく熱くなります。

「もう、いいんだよ。わしのことは置いて、君のいるべき場所へお帰り……」

 コーリャが諭すように語りかけると、そばかすの少女は慌てる風もなく、そっと首を横に振りました。

 その瞳には悲しみなど微塵もなく、ただ愛おしそうにコーリャを見つめています。

 言葉はなくとも、首を振るその静かな仕草だけで、少女の強い想いが痛いほど伝わってきました。

 ――飛べないんじゃない。飛んでいかないの。

 まっすぐに見つめてくる彼女の澄んだ瞳から、コーリャの心へ、声なき言葉が温かく流れ込んでいきます。

(――直してくれたあなたの手が、温かいこの場所が、私のいたい場所なのだから)

 けれど、そのあまりの尊さと、決して満たされることのない現実の切なさに耐えかねたように、コーリャは冷たい床に手と膝をつき、がっくりと項垂れてしまいました。
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