今日も悪魔に恋してる 〜塩対応な先輩は、絶対に好きと囁かない~
4話 悪魔は全然優しくない
サーバールームでの出来事が、頭から離れない。
(悪魔なのか……違うのか……)
『お疲れ』
声のトーンは変わらないのに、たった三文字が強く胸を打った。
それまでまともに挨拶さえ返してくれなかったのに。
(……やっぱり、分かんない)
(……それに、あの香りも)
気づけば、また考えている。
遠くのほうから聞こえる山根さんの呼びかけに、今何をしていたか思い出す。
(ダメだ……今は集中しようっ)
右手に持ったペンを、ぎゅっと握る。
「おっ、やる気十分だね。ここまでで質問ある?」
「大丈夫です、やってみます!」
「また分からなくなったら言ってね」
「はい、ありがとうございます」
「あ、一つ。この数式を弄ると、修正は情シス部になるから」
(……情シス部?!)
(って……佐久間主任だけじゃないから)
どうも過剰に反応してしまうのは、見慣れない佐久間主任のせい。
あたしは邪念を振り払い、新しく任された備品管理に集中した。
(あれ?この商品欄、セルの幅が詰まってて見にくいかも……)
入力していたシートを引きで見て、首を傾げる。
もう少し見やすくできないかと、セルを移動させたり、コピーして並びを整えていく。
(あれ?)
数字を入力しても、合計欄が変わらない。
(え……なんで?)
慌てて元に戻そうとしたものの、どこを触ったのかさえ分からなくなっていた。
朝に飲んだコーヒーの苦みがよみがえる。
喉の奥がひりついて、息を整える間もなく声を絞り出した。
「山根さん……すみません……」
「どうした?」
手を止めた山根さんが、パソコンとあたしの顔を交互に覗きこむ。
そして「あちゃー……」という声を漏らし、苦笑する。
「ひとまず情シス部に内線しよう」
「はい……」
とんでもないミスを犯したのは自分だ。
(だけど……佐久間主任じゃない人がいい……)
祈るような気持ちで、受話器を上げた。
(悪魔なのか……違うのか……)
『お疲れ』
声のトーンは変わらないのに、たった三文字が強く胸を打った。
それまでまともに挨拶さえ返してくれなかったのに。
(……やっぱり、分かんない)
(……それに、あの香りも)
気づけば、また考えている。
遠くのほうから聞こえる山根さんの呼びかけに、今何をしていたか思い出す。
(ダメだ……今は集中しようっ)
右手に持ったペンを、ぎゅっと握る。
「おっ、やる気十分だね。ここまでで質問ある?」
「大丈夫です、やってみます!」
「また分からなくなったら言ってね」
「はい、ありがとうございます」
「あ、一つ。この数式を弄ると、修正は情シス部になるから」
(……情シス部?!)
(って……佐久間主任だけじゃないから)
どうも過剰に反応してしまうのは、見慣れない佐久間主任のせい。
あたしは邪念を振り払い、新しく任された備品管理に集中した。
(あれ?この商品欄、セルの幅が詰まってて見にくいかも……)
入力していたシートを引きで見て、首を傾げる。
もう少し見やすくできないかと、セルを移動させたり、コピーして並びを整えていく。
(あれ?)
数字を入力しても、合計欄が変わらない。
(え……なんで?)
慌てて元に戻そうとしたものの、どこを触ったのかさえ分からなくなっていた。
朝に飲んだコーヒーの苦みがよみがえる。
喉の奥がひりついて、息を整える間もなく声を絞り出した。
「山根さん……すみません……」
「どうした?」
手を止めた山根さんが、パソコンとあたしの顔を交互に覗きこむ。
そして「あちゃー……」という声を漏らし、苦笑する。
「ひとまず情シス部に内線しよう」
「はい……」
とんでもないミスを犯したのは自分だ。
(だけど……佐久間主任じゃない人がいい……)
祈るような気持ちで、受話器を上げた。