今日も悪魔に恋してる 〜塩対応な先輩は、絶対に好きと囁かない~
7話 悪魔は契約を結ぶ
ビアガーデンの酔いも覚め、しっかりした足取りで帰ってきた。
でも、玄関の扉を閉めた途端、堪えていたものが溢れる。
「……っ、ぅ……」
『無理や』
あの時とは違う三文字が、何度も頭の中で繰り返される。
好きだと気づいたその日に、フラれた。
「……そりゃ、泣く……よね」
眼鏡を外して、手の甲で涙を拭う。
そのまま着替えようとポケットに手を入れたとき、指先に何かが触れた。
「……あ」
キャンディ包みのチョコレート。
今日、佐久間主任があたしの頭に乗せたものだ。
(もう……食べちゃお……)
包みをほどく指が、躊躇っているのかゆっくりになる。
ミルクチョコレートの甘い香りに、昼間の光景が蘇った。
『いらんなら返せ』
ガラス越しにそう言った、あの人の口元まで。
『そこ寒いから、端に行っとけ』
『足元、コードあるから気ぃ付けや』
『無理や』
優しくないと思った。
何度も、そう思った。
でも、本当にあたしを突き放したい人が——
あんなふうにチョコをくれるんだろうか。
(……何かちがう)
はっきりとは分からなくても、もう一度確かめたい。
チョコを食べるのも、本当に泣くのもそれからだ。
「佐久間主任……」
チョコをもう一度包み直し、そっとカバンに戻した。
でも、玄関の扉を閉めた途端、堪えていたものが溢れる。
「……っ、ぅ……」
『無理や』
あの時とは違う三文字が、何度も頭の中で繰り返される。
好きだと気づいたその日に、フラれた。
「……そりゃ、泣く……よね」
眼鏡を外して、手の甲で涙を拭う。
そのまま着替えようとポケットに手を入れたとき、指先に何かが触れた。
「……あ」
キャンディ包みのチョコレート。
今日、佐久間主任があたしの頭に乗せたものだ。
(もう……食べちゃお……)
包みをほどく指が、躊躇っているのかゆっくりになる。
ミルクチョコレートの甘い香りに、昼間の光景が蘇った。
『いらんなら返せ』
ガラス越しにそう言った、あの人の口元まで。
『そこ寒いから、端に行っとけ』
『足元、コードあるから気ぃ付けや』
『無理や』
優しくないと思った。
何度も、そう思った。
でも、本当にあたしを突き放したい人が——
あんなふうにチョコをくれるんだろうか。
(……何かちがう)
はっきりとは分からなくても、もう一度確かめたい。
チョコを食べるのも、本当に泣くのもそれからだ。
「佐久間主任……」
チョコをもう一度包み直し、そっとカバンに戻した。