僕たちの余命は、一週間で一生分
突然の暗転、それから限界
雨の夜から数日後。
俺の身体は、いよいよ自分の意思ではコントロールできないところまで蝕まれていた
視界は常に白く霞み、頭の奥で警報のような耳鳴りが鳴り響いている
それでも俺は、大学を休まなかった
休んでしまったら、心配性の陽菜がまたバイトを放り出して俺のところに駆けつけてしまう。
それだけは避けたかった。
「……はぁ、はぁ……」
経済学部の棟の長い廊下
講義が終わり、アパートに帰ろうと一歩を踏み出した時だった。
急に、足元の床がぐにゃりと歪んだような感覚に襲われる
「ごほっ……! う、あ……」
激しい咳と共に、大量の熱い液体が口から溢れ出た。
床にポタポタと落ちる、黒っぽい赤
「おい! 大丈夫か君!?」
「誰か、救急車! 早く!」
周囲の学生たちの悲鳴のような声が、遠くの方で聞こえる
俺の身体はそのまま、冷たいコンクリートの床へと崩れ落ちた
薄れていく意識のなかで、俺はポケットのスマホに必死に手を伸ばそうとした
陽菜に、心配を……かけたく、ない……
だけど、俺の手がスマホに届く前に、目の前は真っ暗な闇に包まれた。