リフォーム営業マンの小さなドキドキ短編集 エピソード2

エピソード2『段々綺麗になっていく②』

吉岡さんは、50代半ばくらい。

一見すると、仲の良さそうなご夫婦だった。

ご主人は小綺麗な格好で、見るからにアクティブな感じ。

多少お腹は出ているものの、軽く日焼けした肌にゴルフブランドのポロシャツ。

どこかの会社の部長さんクラス。

そんな雰囲気の人だった。

奥様も小綺麗な格好ではあるけれど、派手さはない。

清楚という言葉が近い。

キャリアウーマンというよりは、どちらかというと主婦という印象だった。

今回のリフォームは、

・ユニットバス交換
・洗面台交換
・洗面所の天井・壁クロス張替え
・床クッションフロア張替え

といった内容。

築25年ほどの吉岡家は、ハウスメーカー施工の一戸建てだった。

リフォームのきっかけは、浴室の水栓金具の故障。

最初は、

「ユニットバスだけ交換しようかな」

という相談だった。

ここで、ユニットバス交換について一つ覚えておいてほしいことがある。

ユニットバスを交換すると、基本的には浴室入口の枠も交換することになる。

浴室の扉はユニットバスメーカーの商品。

でも、その扉の枠は別。

そこは大工さんの仕事になる。

新しいユニットバスにすると、今までの入口とは幅や高さが変わることがある。

だから、それに合わせて入口の枠も交換しなくてはいけない。

これは、リフォームの豆知識として覚えておいてほしい。

そして、枠のサイズが変わるということは……

その面のクロスも張り替えるのが基本になる。

だから俺は、ユニットバス交換だけではなく、

「洗面所リフォーム」

として提案することが多い。

その方が、先々のことまで考えると無駄がない。

吉岡さんにも、最初の打ち合わせでその話をした。

ご夫婦で話を聞いてもらい、次はショールームへ一緒に行くことを勧めた。

最初の打ち合わせにはご主人もいた。

でも、

「俺はもういいから。あとはやりたいようにやってあげてよ」

そう言って、ご主人は奥様に任せることになった。

そして、その後。

引き渡しまで、俺がご主人に会うことは一度もなかった。

それからショールームに行くまで、奥様とは二度ほど打ち合わせを重ねた。

仕様を決めたり、色を選んだり。

そんな時間を過ごして、いよいよ約束の日を迎えた。
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