隣の席の佐竹くんには…
二人が去ると佐竹君は安堵したように息を吐いた。

「梅沢さん大丈夫だった?」

心配そうに顔をのぞいてくる佐竹君。
それに応えたいけど、顔があげられない。

だって、今、顔を上げたらー…

ポタポタポタ…。

っ…涙が…。

「梅…」

七恵がハンカチで涙を拭いてくれる。

「ごめん梅沢。オレのことで巻き込んじゃって。怖かったよな」

ライトの言葉に無言で頭を横に振る。

この涙は怖かったからじゃない…。

「佐竹も…さっきはごめん。つい、血が昇って…」
「オレは大丈夫だから、気にしないで」

そう言ってライトに向かって微笑みかける佐竹君に、爆発するような感情が湧き出た。

「大丈夫…じゃない」

震える声をどうにか落ち着かせて、振り絞って出した言葉。
無表情は崩れ、止まらない涙を見せながら、佐竹君を睨む。
その姿に、その場にいた三人は驚いた表情を揃えた。

「あの子たちに…佐竹君に謝ってほしかった。佐竹君が言ったことを信じないで色々ヒドイこと言ってきたのに…納得できない」

…あぁ…。
身勝手なこと言ってる。

私だってあの子たちみたいに二人の仲を疑ったり、似たようなこと言ってたくせにね…

それでも言葉が止まらない。
悔しい気持ちが消えてくれない。

「本当にオレは大丈夫だから」

「そうやって簡単に大丈夫だなんて言わないでよ。もっと自分のことも大事に考えてよ!」

…これ以上はダメだ。

動いてしまう口を必死に結ぶ。
そして、逃げるようにその場から離れた。
< 101 / 280 >

この作品をシェア

pagetop