隣の席の佐竹くんには…
それから七恵と学校をサボり、家に帰ったのはいつもより少し早めの時間だった。

「ねぇちゃんおかえり。今日早くね?」

弟の良雅(りょうが)が、リビングのソファに横たわりながら言う。

「ん。午後の授業サボってきた」

「えー珍しいね。どーした?失恋でもした?」

ドキッ…!!!!

思わず動揺してしまった。

無表情は貫いていたとは思うけど、さすが弟。

そのわずかな変化を見逃さなかったようで、食べていた棒アイスを落として目を丸くした。

「えっ!?今、ちょっと動揺したよね?肩がピクッて!もしかしてマジなの!?」

「とりあえず、違うから」

まだ、失恋と決まったわけじゃない。

「とりあえずってなに!?ついにサイボーグ脱却か!?ねぇ、どんな人?教えてってば!!」

「うるさっ。早く落ちたアイス拾いなよ」

サイボーグ扱いしてくる弟にイラッとして、近くにあった洗濯物の山からタオルを丸めてぶん投げてやった。

「えー!どんな人かヒントだけ教えて!じゃないとオレ、今日寝れない!!ねぇちゃんの部屋にずっと座敷童子並みに居座るから!!」

「知ってどうすんのよ」

マジでやめてほしい。

落としたアイスが次第に形を変えはじめていることよりも、姉の好きな人のほうが気になっている弟。


ずっと騒がしいリョウガに、ため息をつき…


「目元が隠れてる人」

「え!?まさかのヴィジュアル系!」

それ以上答えるのがめんどくさくなって、無視を決め込むと、そのタイミングでカバンからメールを知らせる音が鳴った。
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