隣の席の佐竹くんには…
放課後。

「梅沢さん、また明日!」

そう言って、女子に捕まる前に佐竹君は颯爽と教室を出ていってしまった。

手を軽く上げるだけで、佐竹君に返事を返すヒマもなかった。

これから少しずつ、佐竹君を知っていけたらいいのにな…、って思っていたのに。

全然、佐竹君と話せる時間がない。

そんな余裕も隙もなくなってしまった。

(これなら、前のほうが良かったー…)

一瞬そんな考えがよぎる。

自分勝手すぎるでしょ。

あぁ、ダメダメ。

“闇沢”にはなりたくない。

あの子たちみたいに積極的になれたらいいのに。

これは自分の問題なんだ。

わかってはいるけど、どうやって積極的に動けばいいんだろう…。


そんなテンションとは裏腹に、七恵の元気な声がかかる。

「梅、一緒に帰ろっ」

「今日部活は?」

「急遽なくなっちゃった。梅、部活行かないんだったら剣道場行こ」

「えっ!?なんで?」

「佐竹君の部活風景見てみようよ」

髪型を変えてから、佐竹君は剣道場で練習をするようになった。

ライトの話では、部活中の佐竹君はとても楽しそうだと言う。

見てみたい。


けど…

「行ったら迷惑になるよ。ただでさえ毎日女の子たちに囲まれて疲れてるのに」

「んー…じゃあさ、外の小窓からチラッと覗くだけにしよ」

「んん…でもな…」

「最近の梅、なんか物足りないって顔してるじゃん?」

「…それは」

否定できない…。

「ちょっとだけでも佐竹君吸収してこよう、ね!私も見てみたいし」

七恵は強引にぐいぐいと引っ張っていく。


ちょ、ちょっとーー! 

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