隣の席の佐竹くんには…
騒いでいた女子たちが、大人しく教室から離れていった。

「えっ…なんて言ったの?」

「佐竹には“大事にしてる彼女がいる”って言った」

「「えっ?」」

佐竹君と声が被った。

一瞬、心臓が止まりかけた。


「オレ、彼女いないけど」

「そう言っておけば諦めるヤツもいるだろうし、ちょっとは大人しくなるだろ」

…なんだ。そういうことか。

一瞬、彼女がいるのかと思って焦ってしまった。

そんな様子を察した七恵は、ニヤニヤと楽しそう。

「次、しつこい女がいたら彼女が大事だからって強調しとけ。そのために、常に頭の中でシミュレーションしとけよな」

「それって、妄想するってこと?杉本にコツ聞いてみようかな」

佐竹君…なんだかやけくそになってない?

杉本君をお手本にするのだけはマジでやめてほしい。


この日をきっかけに、佐竹君を追いかけ回す女子はいなくなった。

だが、かわりに「佐竹君の彼女は誰?」という、彼女探しが始まったのは言うまでもなく。

とりあえずは落ち着いた日々を取り戻し、そして…球技大会まで残りわずかになった。

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