隣の席の佐竹くんには…
「…断るっていうのも大変なんだね」

「もし、言葉間違えて傷つけたらどうしようとか、色々考えちゃって…」

そっか…。

過去のことがあるから余計に考えてしまうのかもしれない。

「でも、ありがとうって気持ちだけは、ちゃんと伝えなきゃと思って言ったんだけど…」

そう答える佐竹君は少し自信がなさそう。

自分の出した答えが正解なのか不正解なのか、考えているんだろう。


この人は、どこまで優しいんだろう…。

しゃがみ込んだままうなだれている佐竹君のつむじが、なんだか愛おしい。

同じように佐竹君の前に座り込む。


「大丈夫だよ。間違ってないよ」

その言葉に、佐竹君はほんのわずか顔を上げる。

もし自分の立場だったら―…

「断られたことは悲しいかもしれないけど…」

気持ちを言葉にして、それをちゃんと受け取ってくれたら―…

「佐竹君にありがとうって言ってもらえたら、伝えてよかったなって気持ちになるんじゃないかな?少なくとも、伝えたことに後悔は残らないと思う」

これは、自分に言い聞かせているのか。

わからないけど…。

あの子も、きっとそう感じるだろうって思いたい。

いつかは自分の気持ちを伝えられたらいいなって思うけど…


あの子の泣き顔を見たら、少し怖くなってしまった。

(…まだ、このままの関係を楽しみたいなぁ)

パチッと、佐竹君と目が合った。

佐竹君は少し驚いた顔を浮かべている。

「えっ?」と、一瞬不思議に思ったが、すぐに表情の意味に気づいた。

「……あ!!ご、ごめん…!」

「あー…うん……」

慌てて手を引っ込めた。



…手が、佐竹君のつむじに触れていた。
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