隣の席の佐竹くんには…
「……メイクしてる?」
……。
「……へ?」
目を開き、顔をじっくりと見据えてくる佐竹君を映す。
「梅沢さんがここに来た時、なんかいつもと違うなーとは思ってたんだけど…」
一瞬、キスされるのかも…なんてよぎったことが恥ずかしい。
…でも、メイクしてること、気づいてくれた。
胸がドキドキする。
「うん…。七恵がメイクしてくれたの。私の顔が怖いから明るくしてあげるって」
「怖い顔?無表情だから?」
…この人、はっきり言い過ぎじゃない?
さっきまでのドキドキが、スッと落ち着いた。
「私…いつも笑ってるんだけどな」
「常に冷静な顔してるよ」
「訳すと無表情で冷徹でつまらない女ってことだね」
「……ふはっ!」
佐竹君が笑いを吹いた。
「そのセリフ、前にも言ってたよね」
「そう…だっけ?」
「その時も図書室で会った時だった」
「…あ。したかも」
あの日、佐竹君が意外と普通の男子だって知った。
話してみたら意外と面白くて笑っていた。
今はこうやって普通に会話してることが、とても不思議だ。
佐竹君に会える学校での時間が楽しくて、大切で。
気持ちは忙しく動いてるけど、それはそれで楽しい。
好きな人の顔が見れるだけで、毎日が楽しい。