隣の席の佐竹くんには…
「ふふ」

自然と笑いが出てしまった。

「ん?どうしたの?」

「あ、いや…七恵がね、メイクしたら気持ちが明るくなるよって言ってたんだけど、なんかわかるかもーって思って」

佐竹君はフッと優しく笑う。

「梅沢さんが笑ってくれると安心する」

「え…。普段は不安に感じてるってこと?顔が怖いから?」

「違う違う。笑ってる時は本当に楽しいんだろうなって、見てるこっちも楽しくなれるって意味だよ」

…そんなこと言われたの初めてだ。

ジワッと胸に沁みてくる。

「特に今日はメイクしてるから、怖さが薄まってるかも…なんて。これで可愛さもアップしたら最高なんだけどね」

照れ隠しも含めて、自虐的な返しをしてみる。

かわいげないなー…。

「怖くないよ。かわいいよ」

「っ!!!」

心臓が熱く膨れ上がるような感覚に襲われる。

耳の先まで熱い。

やばい…

…秘めていた想いが、もう、体に収まりきれなくなりそうだった。

真っ直ぐと佐竹君に視線を合わせた。

「さっ…佐竹君…」

「ん?」


「私……っ―…」


一瞬、言葉をためらった時、

「梅~!おまたせー!」

七恵が入ってきた。

しかし、雰囲気を感じ取ったのか、ゆっくりと後退し図書室から出て行った。

そこで、ハッとした。

慌てて立ち上がって、七恵を追いかける。



「ちょ…七恵。戻らないでよ」

「だって、佐竹君といい感じだったじゃん。二人してしゃがみ込んじゃってさ」

「や…大丈夫だからっ」

「私、先に帰ってるから、もう少し佐竹君との時間を楽しんできなさいな」

「ホント、大丈夫だからっっっ!」

ヒソヒソ声で七恵を制する。

そして、図書室の扉から顔を覗かせて、

「七恵来たから帰るね。じゃっ!」

佐竹君にやや早口でそう言い残し、強引に七恵を引っ張って颯爽と図書室を後にした。
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