隣の席の佐竹くんには…
学校から出たところで、現実に戻ったかのような感覚が体にドッと押し寄せてきた。

……危なかった。

あのタイミングで七恵が来なかったら…

舞い上がりすぎて、好きって言っちゃうところだった…。

いつか気持ちを伝えられたらいいなとは思っていたけど、今じゃない。

告白を断ったばかりの人に、追い討ちかけるところだった。

あのタイミングで七恵が来てくれてよかった…


まだ、今の関係を壊したくないから。

そうホッとしてる隣では、七恵が罪悪感たっぷりの顔してへこんでいる。

「あぁ〜…応援団として失格だよ私…。タイミング悪すぎ…」

「気にしすぎ。大丈夫だってば」

「私が大丈夫じゃなーい!」

はぁー…と、長いため息をつく七恵。

「……で、佐竹君の反応はどうだった?」

「え?」

「メイクだよー。もしかして、あの人…気づいてなかったの?」

七恵の言葉で、数分前の出来事が脳裏に蘇る。

ボッと顔が熱くなる。

「えっ!?なにその反応!なに言われたの!?」

「えっと…怖くないよ…って言われた」

「へっ?その言葉に顔赤くしてんの?」

「メイクしてること気づいてくれたし」

「もぉー!私のメイクを“怖くない”ってどんな感想よ!あの人、女心わかってなさすぎ!」

プリプリ怒っている七恵に苦笑いした。


七恵、ごめん。

七恵のメイクのおかげで、佐竹君に「かわいい」って言ってもらえた。


でも、その言葉は自分だけの大事なものとして秘密にさせて。

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