隣の席の佐竹くんには…
■松野side◾️


担任の先生に運び物を頼まれた松野は、目的の場所へと向かっていた。

(はぁ…。先生ってば、日直だからって人のことをこき使うんだから…)

頭の中で文句を呟きながら、指定された学習室へと差し掛かった時、

(……あら?)

学習室から足音が聞こえた。

誰か使ってるのかしら?

少し隙間の開いたドアから、様子を確認する。

…あ。
あの人は、たしか…

(佐竹さんを見に来ていた先輩…)

その先輩の前には男子が立っている。

様子からすると、これは告白最中ってところかしら…?

学習室には入らず、廊下の柱にスッと身を隠した。

聞き耳を立て、会話に集中する。

「あの…桜井に言いたいことがあって…」

「…うん」

…あの人が“桜井先輩”ね…。

緊張してる様子の男子は、少し呼吸を整えると、桜井先輩を真っ直ぐ見る。

「オレ、桜井のことが好きなんだ。付き合ってほしい…」

「ありがとう…。でも私、好きな人がいるから……ごめんなさい…」

そう言って、頭を下げる桜井先輩に、男子は「そっか…」と残念そうにうなだれる。

「まぁ、桜井に好きな人いるって、なんとなくわかってたから、フラれるのわかってたんだけど」

「えっ…」

「オレの予想だけど…響か佐竹でしょ?あの2人と仲良さげだからさ」

男子の言葉に、体がピクリと反応する。

カァっと頬を赤く染める桜井先輩に、男子は「やっぱりねー…」と苦く笑った。

「伝えないと後悔しそうだったからさ…。聞いてくれてありがとう」

「…うん。ごめんね。…ありがとう」

男子は桜井先輩に軽く手を挙げると、学習室から出ていった。


…あの人、フラれるのわかってて告白するなんて、なんて馬鹿なのかしら。

ふっと、鼻で笑い飛ばして、学習室に目をやる。


……桜井先輩。

まぁ、確かに美人ではあるけれど?それだけって感じ?

桜井先輩は、男子が去った後、はぁ…とため息をついた。

「私、そんな態度に出てるのかなぁ…。もしかして二人にバレてたりして…。気をつけなきゃ」

独り言を呟く桜井先輩に、スッと瞳の色を落とす。


…ふぅん。

そういう感じですか…




敵、確定。
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