隣の席の佐竹くんには…

…佐竹君と二人きりになってしまった。

さっきより、ドキドキが一気に強くなる。

「桜井さんにちょっと誤解させちゃったかも…」

「え?」と、佐竹君の言葉に小首を傾げる。

「ライトのヤツ寝不足みたいで、試合中に集中力切れちゃってさ。頭にボールぶつけてたから、寝かせてきただけなんだよね」

「そうなんだ。七恵のあの様子だと、ライトが重症だと思ってるかも…」

「だよね…」

佐竹君は困ったように笑った。

少しだけ二人の間に沈黙が流れる。

「…あのさ、桜井さんてさ、もしかしてライトのこと…」

そこまで言って佐竹君がチラッと視線を送ってくる。

なにか言いたげな、その視線の意味に気づいて、思わず目を見開いた。

「え…もしかして…」

“気づいてる?“の意味を込めて視線で会話する。

その意味を汲み取ってくれたらしく、佐竹君は「やっぱりそうなんだ?」と笑った。

「ライトのことであんなに反応しちゃってるんだもんね。バレバレだよね」

「ははは。誤解を解いてこようと思ったけど、大丈夫そうかな」

「大丈夫だよ」

「二人がいい感じになってたら邪魔になるだけだしな」

「うん。……―ん?」

二人が?
その言い方だと…
まるで…

脳内で答えが定まらないでいると、

「そういうことだから。内緒ね」

そう言って佐竹君は、人差し指を口元に当て内緒のポーズを送ってきた。

その仕草にギュッと胸を掴まれる。

いちいち、ときめいちゃうからやめてほしい。
< 158 / 307 >

この作品をシェア

pagetop