隣の席の佐竹くんには…
一瞬、松野さんと目が合ったが、すぐに視線を逸らされた。

松野さんの視線は佐竹君を捉えている。

…イヤな感じ。

心臓が冷や水を浴びたように縮む。

「佐竹さん、お疲れ様です」

「お疲れ」

「先程の試合観てましたよ。佐竹さん、スゴかったですね!」

「ありがとう」

ニコッと松野さんに笑いかける佐竹君。

…あ、やばい。
ちょっとモヤッとしてしまった。

まだ、佐竹君の出てる試合観れてないのに。

ちょっと悔しい…。

「明日の決勝戦、頑張ってくださいね。私、応援してますから!」

「一応、オレたち敵同士なんだよ」

「ふふっ。わかってますよ」

佐竹君だけを見つめ楽しそうに話す松野さん。

なんだろう…。

故意に存在を消されてるような気がする。

会話に入れず、ただボケーッと佐竹君の隣りに立っているしかできないでいると、松野さんの隣りにいた茶髪の男子と目が合った。

と、言うより先ほどからずっと見つめられていたようだ。

さらに、茶髪男子は手を顎にそえながら、徐々に距離を詰めてくる。


…なに、この人。

なぜ、こんな近距離でガン飛ばしてくんのさ。

口角がヒクッと動く。

「土屋君、どうしたんです?」

さすがに松野さんも不思議に思ったらしく、茶髪男子に尋ねる。

茶髪男子改め土屋君は、松野さんの質問には答えず、ニコッと笑いかけてくる。


「…オレ、先輩の顔すげー好み」


……はっ?

耳を疑った。

その場の雰囲気が、一瞬だけ止まった。


けど、土屋君は全く気にしない様子でこっちに集中している。


顔に穴が開きそうなくらいの視線が痛い。
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