隣の席の佐竹くんには…
「あれー?保健室の先生いないの?」

「とりあえず、絆創膏だけもらっとこ」

カーテン越しに、女子二人の会話が聞こえてくる。

ボーッとした頭で、気配だけを感じていると、2人の会話の中で聞き慣れた名前が聞こえてくる。

「そういえば、あの話…マジだと思う?」

「あー…桜井先輩の?」

…桜井?

その名前に、ボーッとしていた頭が冴える。

「佐竹先輩のこと彼女から奪おうとしてるってヤバくない?」


…ん?

ミツの彼女っていうのは嘘なのに、奪おうとしてるって…

どういうことだ?

「しかも、同時進行で響先輩のこともキープしてるとかすごすぎるよね」

…は?
キープ?

なんだそれ…

「欲張りすぎて笑えるんだけど」

「可愛いから自信でもあるんだろーね。……あっ」

一人の女子が、ベッドのカーテンが閉まっていることに気づいた。

「やば、誰か寝てるじゃん」

小声で呟くと、女子たちは慌てて保健室から出ていった。


…さっきの話、どういうことだ?

桜井がオレをキープしてるって…

どうしてそんな話になったんだ?

……桜井はそんなことするやつじゃない。

…もしかして…

オレが安易に嘘ついたせいで、変な噂が立ったのか?

だとしたらー…

そこへ、再び保健室へ誰かが入ってきた。

カーテンの方へ近づくのを感じると、

「ライト君?」

名前を呼ばれて、ガバッと体を起こす。

カーテンを開けると、心配そうな表情を浮かべた桜井が立っていた。
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