隣の席の佐竹くんには…
ピーー!

試合が始まる合図が鳴った。

シュートを決めれば、決め返す。
お互い一歩も譲らない試合が続いている。

決勝戦だけあって、体育館中に盛り上がりの歓声が響く。

そして、二年生リードで前半終了。

「っあ〜〜!佐竹先輩、足速いっすね…」

「そっちも早かったよ…」

お互いに息を切らしながら、その場にしゃがみ込んだ。


「佐竹って聞いて、さっき気づいたんすけど…」

そこまで言って土屋がこっちを見る。

「先輩って、最近まで前髪長かった人っすよね?」

「……そうだよ」

「やっぱ、あれすか?顔面良すぎて、女子から身を守るために的な?」

「そんな理由じゃないよ。…ただ、自分に興味がなかっただけ」

理由を少し濁して答えた。

「ふぅん…贅沢っすね。オレなんか、可愛いーって言われるから、どうやったらカッコいいって言われるか研究してんのに」

土屋の“可愛い”という言葉に、思わず反応してしまった。

「土屋は…可愛いって言われて嫌じゃないの?」

「いや、別に?オレからしたら、可愛いも褒め言葉っすね。オレにキュンキュンしてくれてるってことだし。あ、でも、馬鹿にするような含みの可愛いは別だけど」

「そう…か」

「まぁ、言われるならカッコいいのがいいすけどねー!」

ひょうひょうと語る土屋に、複雑な思いが混じる。


あの時…オレも土屋のように褒め言葉として受け取っていれば良かったんだよな…


過去の、あの時の自分のことが余計に恥ずかしくなった。

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