隣の席の佐竹くんには…
「あ。そういえば、先輩って好きな人っつーか、彼女いたんすね。さっき、佐竹先輩の彼女探しとかで騒いでる女子たちがいたから」

「…う、ん…?」

そういう設定になってるんだよな…。

どっちつかずの返事を返すと、土屋はニカッと笑顔になった。

「じゃあ、ミャーちゃんとは、ホントにただのクラスメイトってことなんすよね。良かったー!」

「っ…」

「昨日、松野ちゃんにも後押しされて。オレ、ミャーちゃんにマジになろうかなって思ってて」

「…へぇ」

「先輩がライバルじゃ勝ち目ないっすからね。安心したっす」

「……」

言葉を返せない。


だけど、土屋の言葉で自分の中のものが明確になった。


(オレ……)

———今さら、気づくなんて。

(……梅沢さんのことが、好きだ)

誰にも、取られたくない。

土屋には…負けたくない。


密かに拳に力が入る。


ピーーー!と、後半戦の合図が鳴った。

オレのほうへ飛んでくるパスを、土屋がカットする。

「っ!」

「後半、追い越してみせますからねー先輩!」

そう言って、土屋は素早くオレをすり抜けていった。
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