隣の席の佐竹くんには…
もし、ここで好きな人を言ってしまったら…
梅沢さんに危害を加えるかもしれない…。

覚醒してる今の松野さんの状態だと、やりかねない気がした。

「佐竹さん…そうなのですね?」

「……っ」

「…あ…、もしかして……」

松野さんの脳裏に何かが浮かんだのか、目線を上へ向けると、その瞳からすうっと色が消える。

「梅沢……先輩…デスカ?」

「…!!」

奥底を抉ってくるようなジットリとした視線に、脅威を感じる。

(そうだよ…)

頭の中では言えるのに、言葉にすることができない。

ガッチリと離そうとしない松野さんの視線に、感情と言葉が反発する。

ギュッと奥歯を噛み締める。


「……違う」

自分で放った言葉に、胸に突き刺さる痛みが走る。

「梅沢さんじゃない。好きな人はいない…」
(…梅沢さんしかいない……)

「…そう…ですか…」

その声には、さっきまでの温度がなかった。

松野さんの瞳に色が戻り始めると、切なそうな顔を見せた。

「では、これから佐竹さんに好きになってもらえるように私…頑張りますから!だから、私を受け入れてください!お願いします!!」

「だから無理だって言ってるだろ!」

「どうして…っ」

「お互い持ってる感情が違うだろ。それで付き合っても、辛いだけだよ」

そう言って、松野さんを体から引き離す。

目からはポロポロと涙が溢れ始めた。

「こんなに…佐竹さんのこと好きなのに…っ」

「ごめん…」

「私を受け入れてくれないのなら…」

「……」



「………死んだほうがマシです」

「……えっ」


松野さんの言葉に、ドクンと心臓が大きく脈打った。
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