隣の席の佐竹くんには…
「七恵おめでとう!」

「へへ。梅、ありがとう」

わー!と、手を合わせて喜んだ。

その様子を見た杉本君は、ライトに顔を向けて言う。

「なんかピンチ切り抜けた感じ?」

「あー…うん。まぁ…」

ほんのり染まった顔を腕で隠して、ゴニョゴニョと答えるライトに、杉本君はニヤリ顔。

「んんー?もしかしてぇー?なんか進展しちゃった系ー?」

「……付き合うことになった。桜井と…」

「ふぅーーーーーーー!!!おめでとーーーう!!」

ライトに両人差し指を向けて、茶化すように声を上げる杉本君。

「お二人さん、青春楽しめよー!」

「やめろって杉本」

「杉本君、声でかい」

優勝した歓喜に混じって、喜びを分かち合っていると…


「ねぇ!!!聞いてきいて!!」


そう言って、慌てた様子で木内さんが教室に飛び込んできた。

「なに?どーしたの?」

「さっくんの彼女、一年の松野って子らしいよ!!!」


……えっ。

木内さんの言葉に、一瞬呼吸が止まった。

隣にいる七恵とライトも、目を見開いて驚いた顔で止まっている。

「マジ!?」

「さっき隣のクラスの子が言ってた。本人がいたから間違いないって!」

「なんかショックなんだけど…」

歓喜から一気に虚脱感が女子たちから漂ってきた。

そんな空気を、頭の片隅で感じながら、行き場のない感情をどうにかしようと思考を巡らす。


(佐竹君と松野さんが……?)

いつから…

知らないところで、築いていたものが二人にはあったんだ…。


「梅…」

七恵が心配そうな顔を向けてくるけど、反応できない。


気持ち…
伝えようと思ってたのに…

行き場を失った佐竹君への想いはどうしたらいいの?


突然、出口を塞がれたような感覚に、その場から動けなくなってしまった。


(間に合わなかった…)

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