隣の席の佐竹くんには…
授業中、佐竹君は変わらず上の空。
「この問題、誰に解いてもらおうか?」
黒板に書かれた問題を、チョークの先でトントンと音を出して、数学の林先生がゴリラ顔でクラスを見渡している。
当てられまいと生徒たちが顔を俯かせる。
そんな中でも、佐竹君は頬杖をついてぼんやりと窓の方に目を向けていた。
「光秀」
林先生がゴリラ顔に意地の悪そうな笑みを浮かべて佐竹君を指した。
しかし、佐竹君は自分が呼ばれたことに気づいていないのか無反応。
佐竹君…その態度はまずいよ。
私が肩を叩いて気づかせようとするより先に、
「おーい、佐竹。指されてるぞ!」
杉本君が小声で呼んだ。
反応のない佐竹君に、林先生の怒りのバロメーターであるこめかみがピクリと動いたのが見えた。
ヤバイ。
ゴリラがキレる未来が見えた。
「…やきとり」
え!?
突然の佐竹君の小さな呟きに、思わず杉本君と顔を合わせた。