隣の席の佐竹くんには…

………部活の空気が、ここ最近ずっと重い。

「佐竹、また気が抜けてるぞ」

顧問の先生の声に、姿勢を正す。

「すみません…」

返事はしたものの、体がついてこない。

さっきから、足の感覚が少しおかしい。

踏み込んでいるはずなのに、どこか地面を踏めていないような、妙なズレ。

「最近、調子悪いな」

先生に追い打ちのように言われ、胸の奥がじくりと痛む。

(わかってるよ、そんなこと…)

言い返す気力もない。

ただ、うまく呼吸ができない感覚だけが、じわじわと広がっていく。
集中しなきゃと思うのに、頭の中はずっと靄がかかったようだった。


休憩中、松野さんが駆け寄ってくる。

「佐竹さん…最近お疲れみたいですね。よかったら、空いた時間にでも私と一緒に稽古しましょうか?」

心配そうな表情を浮かべた松野さんの声は柔らかかった。
責めるでもなく、ただ純粋に気遣うような響き。


だけど…

胸の奥で、苛立ちがざわりと逆立つ。


(今、それ言うかよ……)

ぐっと奥歯を噛みしめる。

その言葉が、優しさだということくらい分かっている。
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