隣の席の佐竹くんには…
「……大丈夫」

短くそう返すのがやっとだった。

視界が、少し白くにじむ。

「無理しないでください。佐竹さんのこと、ちゃんと見ていますから」

その言葉が、まるで重たい鎖のように首に巻き付くのを感じた。

「佐竹さん…?なんか顔色悪いですよ」

逃げ場を塞ぐように、まっすぐで静かな声。
視界の端が、少しずつ滲んでいく。

「少し休んだほうが…」

言葉の続きと同時に、心配そうに松野さんの手がこちらへ伸びる。

(やめろよ……)

触れられる。

その瞬間、自分のものではないような手足の感覚で、力任せに松野さんの手を払いのけた。

――パシン。

乾いた音が鳴り、そのまま視界が大きく傾いた。

考えがまとまらないまま、足元がぐらりと揺れる。

床が、やけに近い。



(……あ、やば……)




最後にそう思ったところで、意識が途切れた。

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