隣の席の佐竹くんには…
——薄く、光が差し込んでいる。
まぶたの裏が、白い。
目を覚ますと、白い天井が見えた。
保健室の匂い。
(……あれ、オレ)
状況を理解するのに、少し時間がかかった。
体を起こそうとすると、頭がズキッと痛んだ。
「動くなって」
声のする方を見ると、ベッド脇の丸椅子にライトが座っていた。
心配と苛立ちが混じったような顔をしている。
「ライト…、オレ…」
「稽古中にぶっ倒れたんだってよ」
「そう…か…」
あまり覚えていない。
「お前…倒れる時、彼女の手振り払ったらしいな」
「……え」
それもうまく思い出せない。
「オレがここに来た時、いたんだよ。佐竹に手振り払われたって…彼女、不安そうな顔でミツのこと見てたぞ」
「……」
「彼女には悪いけど、帰ってもらった」
しばらく、沈黙が流れた。
ライトは、何かを言いたそうにしているけど、すぐには言葉にしない。
やがて、絞り出すように口を開いた。
「なぁ、ミツ。なにがあったんだよ」
「……別に、なにもないよ」
「なにもなくて倒れるかよ。うなされてもいたんだぞ」
珍しく強い口調だった。
「ここ最近、ずっとおかしいよな?授業中もボーッとしてるし。何を一人で抱えてる?」
「……」
「頼むから一人で抱えるのやめろよ。また、同じこと繰り返そうとしてるんじゃねーのかよ」
同じこと。
その言葉に、胸の奥が締め付けられた。
心臓の底が、じくりと音を立てて冷えていくような感覚。
…自分を壊すことでしか出口を見つけられない。