隣の席の佐竹くんには…
「まぁ、とにかく。自分を追い込まないようにね。あんた、また髪伸ばして心情を具現化しそうなオーラ出てるから」

「もう伸ばさないよ。あの時には戻りたくないし」

「まぁ、切ったら切ったで、それも大変みたいだし?テレビに映ったドクターフィッシュ観て『学校の女子たちに見えてきた…』って、精神不安定になってたよね。どっちにしても大変なんだろうね、光秀は!」

あははーと、軽い調子で笑う姉につられて、軽く自虐のような笑いが漏れる。

問い詰めるわけでもなく、笑い飛ばすわけでもない。
姉なりの不器用な優しさに少しだけ心が救われた。

…あとは、無事に家に帰れるかが心配だけど。

窓越しに見える外の景色が、どんどん変化していく。
それがまるで、自分の体の中で起こっているような、そんな感覚になった。


「…ねぇ、一つだけオレの気持ちを言葉にしてもいい?」

「いーよ」

「安全運転でお願い」
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