隣の席の佐竹くんには…
■松野side◾️


佐竹さんが倒れてしまった…。

帰宅後、静まり返った部屋の中で、その時の光景が頭の中で何度もハッキリと再生される。

佐竹さんに振り払われた手の甲に視線を落とす。

手の甲に感じた痛みの熱は、もう消えてるはずなのに。

(私はただ心配して…)

まだ熱く残ってる感覚が、胸の奥を酷く焦がすようだった。

佐竹さんはいつも、応えてくれる。

…だけど、瞳の奥は笑っていない。

それでも、いつか必ず受け入れてくれると信じて、必死に想いをぶつけてきた。

それなのに…
佐竹さんは、どうして私を見ようとしてくれないの?

少しくらい見てくれたっていいのに。
見てくれないから、いつまで経っても進まないのに。
こんなに、好きってことをわかってほしいのに…。

……笑ってほしいのに。

『佐竹のことたくさん笑顔にしてあげて』

ふと、梅沢先輩の言葉が脳裏によぎった。

叩かれた手を、ギュッと握る。

(私では、佐竹さんを笑わせることはできないの…?)

…そんなはずない。
まだ時間が足りないだけ。

手を握る力がさらに強くなる。

(他の誰かに笑わせるくらいなら……)

(……私は間違ったことなんかしてないはず)

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