隣の席の佐竹くんには…
「…彼女、マジでヤバいですね。混乱するのも無理ないですよ」

ひぇ〜…と、おぞましいものを見たかのようなリアクションをする男子。

「それでも最近、自分のことにも目を向けられるようになってきたから、前向きに考えられるようにはなってきたんだよ」

「自分のことも大事にしなきゃですもんね」

「あ、それ好きな子にも同じこと言われた。これからはそうしていくつもり」

「だけど…、その厄介な彼女の目があるから、ありのままに動けない…と。お兄さんは今、そこで悩んでるってことですね?」

「うん。そんな感じ」

男子は、うーん…と、自分のことのように悩んでくれる。

「なんか、ごめんな。知らない奴なんかの話聞いてもらっちゃって」

「や、オレが聞きたかったんで。本当に悩んでる事って、近い人にはなかなか言えないじゃないですか」

…言えなかった。

友達にも、家族にも。

「こういう時は、全く関係のない人に話を聞いてもらうのがいいんですよ。愚痴るだけでも、結構スッキリするし。…って、うちの母が言ってました」

「それも、オレのねえちゃんに言われた。…うん。聞いてもらったら、結構スッキリした。ありがとう」

笑顔を向けると、男子はヘラッと笑みを返す。

頭の中にあったものが、外に出ただけなのに、目の前に見える景色が違って見えた。
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