隣の席の佐竹くんには…

「あ、まだ取れてない」

そう言って、佐竹君は屈んだまま体を近づけてくる
と、絵の具が付いている箇所を親指で拭き取った。

っ…!

突然のことで、一瞬、息が止まった。

落ち葉の時のこと思い出しちゃったじゃん…!

数秒の間、佐竹君は我に返ったような顔で、自分の手を見つめた。

「…梅沢さん、ごめん」

「えっ…?」

「悪化した…」

赤い絵の具の付いた手を宙に浮かせたまま、やらかした感満載の表情の佐竹君の様子に想像がついた。

頬上で絵の具の範囲が広がってしまったんだろう。


「…図太い女の呪縛感出てる?」

この空気を和ませようとボケてみた。

その姿に、何度か目を瞬かせる佐竹君。

「…ブハッ!!あははは!」

佐竹君の笑い声が教室に響く。

その笑い声に、別の班の人たち数人の視線が集まる。

「そのネタやめて!」

「図太そうな女子だけ血糊メイクするのいいかもね」

「え、梅沢さんて本当に図太いの?」

「最近、そのスキルが備わった感じ」

「ははは!多分オレ笑っちゃうから、血糊メイクはしないでほしいかも」

「そう?じゃあ、ちょっと付いた呪縛解放してくるね」

「ククッ」

水道へ向かおうと腰を上げるのと同時に、ふと気づく。

「あ、佐竹君も手に付いた呪縛取り除きに行ったほうがいいんじゃない?」

「あはは!これ、呪縛なんだ?それは落とさないとヤバいかもね」

「なんせ図太くて強力だから」

「ホントやめて!笑いすぎてお腹痛い!」

そんな掛け合いをしながら、佐竹君と教室を出ていった。
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