隣の席の佐竹くんには…
着いた絵の具を洗い落とし、佐竹君と教室に戻る。
中へ入るなり、なんとなく空気感が変わっているような気がした。
小首を傾げながらも看板の前に座り込むと、別班で作業中の七恵とパチリと目があう。
顔がニンマリとしている。
その表情の意味を察して、思わず顔が緩んだ。
あの顔…絶対、さっきの佐竹君とのやりとりにニヤついてるんだな…。
七恵だけじゃなく、木内さん始め、他数人からも、なんとなくだけど感じる。
…なんか、やりづらいんだけど。
今度は、カァ…っと、顔が熱くなる。
やっぱり、図太く行動するのって難しいな…。
「今日はこの部分だけ仕上げたら終わりにする?」
教室の空気感に気づいていない佐竹君が、不意に聞いてきて、思わずドキッとしてしまう。
「う、ん。そうだね…」
急に意識し始めたら、図太さの加減がわからなくなってきた。
佐竹君は、そんなぎこちなさを感じとったらしく、
「ん?どうしたの?」
そう言って、顔を覗き込んでくる。
や、やめてくれ!
そんな時、
「佐竹さんいますか?」
松野さんが教室のドアからヒョコッと顔を出した。
途端に空気が重く沈んだ。
佐竹君は私の顔を覗き込む体勢のまま、松野さんに視線だけを合わせる。
その姿に、松野さんの目の色が変わった。
「えっ…何してるんですか?」
松野さんの視線は、佐竹君ではなく、そのすぐ隣にいる私へとゆっくり滑ってきた。