隣の席の佐竹くんには…


文化祭まであと二日。

看板はほぼ完成していて、あとは微調整をするだけ。

文化祭間近ということもあり、今日は学習室を使って看板班四人で追い込みをかける。

数分作業したところで、看板全体を確認する。

「もう、これで完成でいいよなー?」

「うん。充分だよね」

杉本君と石川さんが満足そうな顔で言った。

佐竹君も同調するように頷いている。


「結局、サブタイトルなしかぁー…」

残念そうに呟く杉本君に、佐竹君が笑いを吹き出す。

佐竹君、呪縛ネタ好きだなぁ。

「あ、この部分だけ、もう少し赤色足してもらってもいい?」

赤い絵の具の付いた筆を持ってる佐竹君に、石川さんが指示を出す。

そんな佐竹君の姿を見つめながら、密かにため息をつく。


(文化祭準備終わっちゃうなぁ…)

佐竹君と近くで過ごせる時間が終わってしまい、少し寂しさを感じる。

松野さんに対する佐竹君の冷たい態度は、あの日だけだったのか、その後は変わりなく接しているようだった。

(文化祭は松野さんと回るんだろうな)

わかっていることだけど、胸がチクリと反応する。

…隣の席なのに、遠い。

この距離は縮まることはないけれど、少しでも佐竹君が笑ってくれるなら、それ以上は望まない。

心情とは似つかわしくない、ホラー感満載の看板を見つめながら浸っていると、

「あの、すみませーん!」

教室に男子の声が響いてきて、その方向へ顔を向ける。

「あー!ミャーちゃんじゃん!」


テルだ。
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