隣の席の佐竹くんには…
認識されるなり、人懐こそうな笑顔で近づいてきた。
「どうしたの?」
「ニ年生の実行委員探してるんだけど…どこにもいなくて」
「テル、実行委員だったんだ」
「お前、祭り男だから!って、みんなに推されてさぁ!」
「それ押し付けられたんだよ」
「え!そうなの!?」
テルとそんなやり取りをしている時、
「…おわっ!!おい、佐竹佐竹っ!!」
慌てる杉本君の声が聞こえてきて、そっちに振り返る。
「あっ…」
佐竹君以外の視線が看板に集まり、一瞬シンと静まり返った。
佐竹君の持っていた筆の先から垂れ落ちた赤い絵の具が、看板の上に広がっていた。
「…あ。ご、ごめん…!!」
ハッと、気づいた佐竹君が顔を青ざめて慌てる。
「佐竹どーしたよ?おつかれか?」
「後半、梅沢さんと二人で任せきりになっちゃったから疲れたよね」
「…本当にごめん…」
「また直せばいいんだし、気にすんなー」
顔を俯かせる佐竹君の肩を、トントンと叩きながら杉本君がフォローする。
そんな中で、佐竹君が着けてしまった絵の具をしばらく見つめて思う。
「……血っぽくない?」
「えっ」
私のその呟きに、みんなが看板に注目する。
「…たしかに」
杉本君が顎に手を添えて、感心するように呟く。
感心が集まる中、私は太めの筆を一本取ると、それに赤い絵の具を付ける。
そして、誰の許可なく、看板の表面を目掛けて筆から赤い絵の具を落としてみせた。
その行動に、そこにいた全員が唖然とした。