隣の席の佐竹くんには…
「…梅沢さんは」

そこまで言って、一度、口をつぐむ。

「土屋と付き合ってるの?」

「え…」

ジッと見つめてくる佐竹君の瞳は、複雑そうに揺れている。

…なんで?

「テルとは…付き合ってないよ」

「でも、下の名前で呼んでる」

「え…っと…」

あの日の出来事なんか佐竹君に言えるわけない。

佐竹君のことで泣いて、テルに慰めてもらったなんて。

だとしても…

(どうして、佐竹君はそんなこと聞いてくるの…?)

テルとどういう関係かなんて、佐竹君には関係ないことなのに。

言い淀んでいる間、佐竹君は目を離さず真っ直ぐに見つめてくる。

…そんなこと言われたら、勘違いしそうになる。

この人は、どうして…
期待させるようなことをしてくるの?


こっちがどんな気持ちでいるかも知らないくせに…


…ずるすぎる。


佐竹君の目の奥を見通すように、さらに見つめ返す。

「どうして…そんなこと聞いてくるの?」

聞く理由があるなら知りたい。

その質問に佐竹君は、ようやく目を離すと、今度は何か言いたそうに口を動かす。



「………気になったから」


少しして、佐竹君の口からこぼすように出た言葉。

わずかに顔を俯かせてよく見えないけれど、頬が染まっているように見える。
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