隣の席の佐竹くんには…
♢♢♢


人の波に押されながら、七恵と校内を歩く。

「どこも混んでるねー」

「でも雰囲気だけで楽しいよね」

軽口を交わしながら廊下を進んでいると、見慣れた顔が視界に入る。


「あ、ミャーちゃん!こっちこっちー!」

モンスターの着ぐるみを羽織り、勇者の剣を腰に下げたテルがこっちに向かって手を振っている。

垂れ下がった尻尾が付いていて、モンスターというよりも犬に近いテルに、思わずフッと笑いがもれる。

「喫茶クエストにようこそー!」

「モンスターに剣?どんなコンセプトなの?」

「んー……とりあえず!入ってくれたらわかるから、寄ってってよ!」

説明が面倒になったようにも聞こえた気もするけど、しれっと誘導される。

一瞬、ためらう。

(テルの教室ということは…)

松野さんがいるということだ。

正直、あまり会いたくない…。


テルは、尻尾を振っていそうなオーラで、ニコニコしている。


断りづらいなぁ…。

< 289 / 335 >

この作品をシェア

pagetop