隣の席の佐竹くんには…
ひっそりと、肩で息をつく。

そんな佐竹と松野の温度差に、数人から違和感を持った目が向けられていることに気づいていない二人。


そんな視線を壊すかのように、

「ようこそー!喫茶クエストへ!」

モンスターの格好をした土屋が二人の座る席へとやってきた。

…土屋。

ふと、梅沢さんが「テル」と呼んでいたことを思い出して、モヤッとする。

土屋とは付き合ってないって言ってたけど、なんで下の名前で呼ぶようになったんだろう…

気になるけど、聞けない。

もどかしさで、そわそわしてしまう感情をどうにか抑える。


「二人とも、本日はどんなクエストにしますか?」

ニコニコと接客する土屋に、松野さんは嬉しそうな笑みを浮かべながら悩む仕草をする。

「佐竹さん、どうします?色んなクエストメニューがありますよ」

そう言って、松野さんがメニュー表を差し出してくる。

「…毒消しってあるの?」

なんとなく適当に聞いてみると、土屋は一瞬、理解が追いつかなかったようで、「え?」と声をもらした。

「佐竹先輩…毒に侵されてるんすか?」

「もう、佐竹さんたらっ!早速、世界観に入ってくれてるんですかぁ?面白ーい!」

「あ、そういうノリすか?」

楽しそうに笑う松野さんと土屋。


…ダメだ。全然、集中できない。

この二人のテリトリーにいると、余計なことを考えてしまう…。
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