隣の席の佐竹くんには…
そんな中、土屋がチラッと松野に合図するように視線を合わせる。
「…そういえば土屋君、そろそろ休憩の時間では?」
「そうだねー。じゃあ、ちょっと休憩に行ってこようかなー」
「ふふ。行ってらっしゃい」
「お二人とも楽しんでねー。オレも楽しんでこよーっと」
機嫌良く教室を出て行く土屋に、松野さんは笑顔で見送る。
土屋の姿が見えなくなって、少しホッとする。
「土屋君、梅沢先輩と約束でもしてるんですかね?すごく嬉しそうな顔してましたね」
「え?」
「最近、土屋君と梅沢先輩いい感じじゃないですか?もし、あの二人が付き合ったら、私は嬉しいんですけどねぇ」
「……」
思わない。……思いたくない。
キュッと口元に力が入る。
……梅沢さんが土屋を「テル」と呼んだことに、動揺して看板を汚してしまったあの時。
自分の器の小ささに、恥ずかしくなった。
そんな自分を受け入れたくなくて、血垂らしをやりたいと言う土屋に、思い切って筆を渡すという、感情とは逆の行動をとってみた。
だけど…
(土屋と仲良くしてほしくない…)
土屋が絡むと、やっぱり自分勝手な感情が暴走してしまう。